ASPとは?ほかの構築方法との違い
ECサイト構築におけるASPとは
ASPとは 、Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダー)の略です。ECサイトを手軽に構築・運営できるクラウド型のサービスのことで、サーバーの準備やシステム開発を行う必要がなく、申し込み後すぐにネットショップを開設できる点が特徴です。
代表的なASPには、BASE、Shopify、STORESなど多くのサービスがあります。それぞれ料金や機能、カスタマイズ性に違いがあるため、自社の事業規模や販売方法に合わせて選ぶことが重要です。
また、ASPを調べていると「SaaS」という言葉を目にすることがあると思います。SaaSとは「Software as a Service」の略語で「サービスとしてのソフトウェア」と訳されます。クラウドサービス関連の業界団体であるASPIC(一般社団法人日本クラウド産業協会)は、ASPを「特定・不特定のユーザーが必要とするシステム機能をネットワーク経由で提供するサービス、またはそのようなサービスを提供する事業形態」と位置づけており、「ASP」と「SaaS」は同義語とみなして扱っています。(出典:ASP・SaaSの基本 | ASPIC(一般社団法人日本クラウド産業協会))
実際の使われ方としては、SaaSが「ソフトウェアそのもの」を指すのに対し、ASPは「サービスを提供する事業者側の仕組みやビジネスモデル」を指すニュアンスで使われるケースが多く見られます。しかし、ユーザーとしてはあまり深く考えすぎず、同義語として捉えて問題ないでしょう。
ECサイトの主な構築方法
ECサイトの構築方法には、ASP以外にもさまざまな種類があります。自社に適した方法を選ぶためには、それぞれのECサイト構築方法の特徴やメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。ここではASP型、パッケージ型、フルスクラッチ型の3つを紹介します。
ASP型
冒頭で説明した通り、ASP型はサービス事業者が提供するクラウド型システムを利用してECサイトを構築する方法です。機能追加やセキュリティ対策、システムのアップデートもサービス側が対応するため、パッケージ型やフルスクラッチ型と比べて運営・管理の負担が少ない点が特徴です。ただし、デザインや機能のカスタマイズ性は他の2つの方法に劣ります。
パッケージ型
パッケージ型は、ECサイト運営に必要な機能を備えたシステムを導入して利用する構築方法です。ASP型と異なるのは、クラウド上のシステムを共有するのではなく、自社専用の環境でシステムを構築・運用する点です。
初期費用は高くなる傾向がありますが、デザインや機能のカスタマイズ性に優れており、自社の業務フローや販売戦略に合わせたECサイトを構築できます。そのため、売上規模が大きい企業や独自の要件を持つ事業者に選ばれています。ただし、保守・アップデートは自社対応が必要になる場合があるため、専門知識のある技術者が必要になってきます。
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型は、自社専用のECシステムをゼロから開発する方法です。機能やデザインを自由に設計できるため、大規模なECサイトや越境EC、独自の販売方法を実現したい企業に向いています。一方で、開発期間が長くなりやすく、初期費用や運営コストも高額です。導入後も保守・運用を継続するための体制が必要になるため、十分な予算と人員を確保したうえで検討することが重要です。
ECサイト構築におけるASPの特徴
ASPは比較的簡単にECサイトを開設できる一方、カスタマイズに限度があるなどのデメリットもあります。ここではASPでECサイトを構築する際のメリット・デメリットを解説します。
メリット① 短期間・低コストでECサイトを開設できる
ASPの最大のメリットは、初期費用を抑えながらスピーディーにECサイトを構築できる点です。商品管理や決済、ショッピングカート、受注管理など、通販サイトの運営に必要な機能があらかじめ用意されているため、システム開発の期間や費用をかけずに、最短で申し込み当日〜数日中にはショップを公開できるケースもあります。
自社でサーバーやエンジニアを用意する必要がないため、資金や人員が限られる個人事業主・小規模企業でも取り組みやすく、EC事業への参入ハードルを大きく下げてくれます。
メリット② ECサイトの運用・保守の負担を軽減できる
ASPでは、サーバーの管理やセキュリティ対策、システムアップデートなどをサービス提供側が行います。そのため、自社で専門のエンジニアを確保しなくても、安定したEC運営を続けやすいのが特徴です。特に、注文数が増えた際のシステム対応や決済機能の更新などを任せられるため、運営担当者は商品企画や集客、リピート施策などの事業成長に集中できます。
メリット③ 専門知識がなくても導入・運営しやすい
多くのASPサービスは、管理画面がわかりやすく設計されています。プログラミングの知識がなくても、商品登録や在庫管理、キャンペーン設定などを行えるため、初めてECサイトを作る方でも扱いやすいでしょう。また、サポート体制が充実しているサービスも多く、電話やチャット、メールで相談できる点も安心材料です。
デメリット① カスタマイズに制限がある
ASPにはデメリットもあります。あらかじめ用意されたシステムを利用するため、デザインや機能を完全に自由に変更できるわけではありません。独自の販売フローや会員制度、特殊な業務システムとの連携が必要な場合は、ASPでは対応が難しいケースがあります。高度なカスタマイズを重視する場合は、パッケージ型やオープンソース型も比較検討するとよいでしょう。
デメリット② 月額費用や手数料が発生する
ASPは初期コストを抑えやすい反面、月額料金や決済手数料などのランニングコストが継続的にかかります。BASEなど無料プランを提供するサービスでも、売上に応じた手数料が発生することがあります。事業規模が拡大すると、上位プランへの移行が必要になる場合もあるため、導入前に総コストを確認しておくことが大切です。
デメリット③ サービスごとに機能や拡張性が異なる
ASPはさまざまな会社からサービス提供されていますが、対応できる機能や拡張性には大きな違いがあります。定期通販に強いサービス、越境ECに対応しやすいサービス、Amazonや楽天との連携機能が充実しているサービスなど、得意分野はさまざまです。例えば、Shopifyは海外販売やアプリ連携に強く、ecforceやMakeShopは定期購入やリピート通販向けの機能が充実しています。それぞれのASPによって強みが異なるため、料金の安さだけで選ぶのではなく、自社が必要とする機能や将来の事業規模に対応できるかを含めて選ぶことが、後悔しないECサイト構築のポイントです。
ASPの選び方
ECサイトASPは数多くのサービスが提供されており、それぞれ料金や機能、サポート内容が大きく異なります。自社に合わないサービスを選んでしまうと、「必要な機能が足りなかった」「運用コストが想定以上にかかった」といった失敗や後悔につながることもあります。そのため、価格だけで判断するのではなく、事業規模や運営方法に合わせて総合的に比較することが大切です。ここでは、サービスを契約する前に確認しておきたいポイントを3つ紹介します。
必要な機能を備えているか
まず確認したいのは、自社のECサイト運営に必要な機能が標準で備わっているかどうかです。
例えば、商品管理やショッピングカート、決済機能、配送設定などはほとんどのASPで利用できますが、定期購入や会員ランク機能、クーポン発行、越境EC対応、Amazon・楽天との連携などは、サービスによって対応状況が異なります。
また、将来的に機能を追加できるかも重要なポイントです。Shopifyのようにアプリで機能を拡張できるサービスもあれば、標準機能が充実しているMakeShopやfutureshopなどもあります。現在必要な機能だけでなく、今後の事業展開も見据えて選びましょう。
料金体系は適切か
ASPは初期費用を抑えやすい一方で、月額料金や決済手数料、オプション費用などのランニングコストが発生します。無料で始められるサービスもありますが、売上が増えると手数料が高くなる場合や、必要な機能を利用するために有料プランへの変更が必要になるケースもあります。
そのため、「初期費用が安い」という理由だけで選ぶのではなく、月額料金や各種手数料を含めたトータルコストを比較することが大切です。長期的な運営を考えた場合の費用も確認しておきましょう。
サポート体制や将来の拡張性を確認する
初めてECサイトを構築する場合は、サポート体制が充実しているサービスを選ぶと安心です。電話やメール、チャットなどの問い合わせ方法や、マニュアル・FAQの充実度を事前に確認しておくことで、導入後もスムーズに運営できます。
また、事業が成長した際に対応できる拡張性も重要です。商品数やアクセス数が増えても安定して運営できるか、外部システムとの連携やカスタマイズに対応しているかなども確認しておきましょう。将来の事業規模や販売戦略も考慮し、自社に最適なASPを選ぶことが成功へのポイントです。
ASPサービスの比較
ECサイトASPにはさまざまなサービスがあり、料金や機能、カスタマイズ性、サポート体制などに違いがあります。そのため、「人気だから」という理由だけで選ぶのではなく、自社の事業規模や販売方法に合ったサービスを選ぶことが重要です。ここでは代表的な8社(BASE、STORES、カラーミーショップ、SHOPLINE、Shopify、MakeShop、futureshop、ecforce)を料金・対象規模・特徴の3項目で比較します。
| サービス | 料金(初期費用/月額) | 対象規模 | 特徴 |
| BASE | 0円/0円 (有料プランは月額16,580円) | 個人〜小規模 | 無料で最も手軽に始められる |
| STORES | 0円/0円 (有料プランは月額3,300円~) | 個人〜小規模 | シンプルな操作性、SNS連携に強い |
| カラーミーショップ | 3,300円~/4,950円~ | 個人〜中規模 | 国内向けの老舗、サポートが充実 |
| SHOPLINE | 0円/4,033円~(年払い) | 中〜大規模 | 越境EC・ライブコマースに強い |
| Shopify | 0円/3,650円〜(年払い) | 小〜大規模 | 越境ECに強く、拡張性が高い |
| MakeShop | 11,000円/13,750円〜 | 中〜大規模 | カスタマイズ性が高く、BtoB機能も充実 |
| futureshop | 22,000円〜/27,000円〜 | 中〜大規模 | デザインの自由度が高く、ブランディング重視、学習プログラムあり |
| ecforce | 148,000円/49,800円〜 (詳細は見積もりが必要) | 中〜大規模 | D2C・定期通販に特化、分析機能が充実 |
※料金・情報は2026年9月時点のものです。最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。
ASPを選ぶ際のポイント
比較表を見るとわかるように、すべてのASPが同じ特徴を持っているわけではありません。
- 初めてECサイトを構築するなら:BASE、STORES
初期費用・月額費用を抑え、専門知識がなくても手軽に始められます。
- 本格的に通販事業を始めるなら:MakeShop、カラーミーショップ
機能の豊富さと国内向けサポートの充実度が魅力です。
- 将来的な拡張性を重視するなら:Shopify、futureshop
デザインや機能のカスタマイズ性が高く、事業成長に合わせた拡張がしやすいのが特徴です。
- 越境ECや海外販売を検討しているなら:Shopify、SHOPLINE
多言語・多通貨対応やアプリ連携で、海外向け販売にも強みがあります。特にSHOPLINEはアジア市場に特化した機能が充実しています。
- 定期購入やD2C事業を運営したいなら:ecforce
リピート促進機能や顧客分析、LTV最大化に特化した機能が充実しています。
このように、「どのサービスが一番優れているか」ではなく、自社の事業内容や必要な機能に合っているかという視点で比較・検討することが大切です。
まとめ|ECサイトを始めるなら、まずはASPを検討しよう
ASP型ECサイトは、初期費用や開発コストを抑えながら、短期間でネットショップを開設できる構築方法です。商品管理やショッピングカート、決済機能などECサイトに必要な機能があらかじめ用意されているため、専門知識がなくても導入・運営しやすいというメリットがあります。一方で、サービスによってカスタマイズ性や料金体系、拡張性には違いがあるため、自社の事業規模や販売方法に合ったASPを選ぶことが重要です。特に初めてECサイトを構築する場合は、必要な機能やサポート体制、将来的な事業拡大への対応力などを比較しながら検討すると、導入後の後悔を防げます。
これからECサイト運営を始めたい方は、まずはASPの特徴を理解し、BASE、Shopify、STORESなどのサービスを比較しながら、自社に最適なサービスを見つけてみてください。
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